第98回 “辞書いらず”フランス語 /「テーマ別」ラ・ロシュフコー箴言集 「エスプリ」(2)
皆様こんにちは、今回も当ブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。
本日は前回の「エスプリ」の続きをご紹介します。箴言番号は108、249、250です。フランス語の文法学習の面でも多くの学び(条件法など)があるだけでなく、いつものように「生きる知恵」の学びも同時に深めることができます。それでは、お楽しみください。
<引用はじめ>
(108)L’esprit ne saurait longtemps jouer le personnage du cœur.
◎エスプリは、長い間にわたって心の役割を演じることはできない。
(訳注)
・saurait:savoirの条件法現在形。「+不定詞~」で、「~できない」。Je ne saurais vous dire qui m’a donné cet argent.「このお金を誰からもらったのかは言えません。」
➡この箴言は、前回の第97回ブログでご紹介した箴言102「L’esprit est toujours dupe du cœur.」(エスプリはいつも、心にだまされる)とセットで読むと理解し易いと思います。人間にとっては、「エスプリ」よりも「心」が先立つということですね。
(249il n’y a pas moins d’éloquence dans le ton de la voix, les yeux et l’air de la personne, que dans le choix des mots.
◎声の調子、眼差し、表情の中にある雄弁さは、言葉の選択による雄弁さに比して劣るものではない。
(訳注)
・pas moins de ~ que :moins de「~以下の」, que dans le choix des motsのqueが「~以下の」の「~」以下に対応している。直訳すると、「le ton de la voix, les yeux et l’air de la personne」の中にある雄弁さが、「choix des mots」の中にある雄弁さよりも「より少ない(moins)」というではない(il n’y a pas)。dansの前でéloquenceが省略されています。言い換えますと、「声の調子、眼差し、表情の中には、言葉の選択に劣らない雄弁さがある」ということですね。
・éloquence:①雄弁、雄弁術、②説得力、表現力
・ton:①口調、語調、語気 ②(文章の)調子 ③色調、色合い、トーン ④(声の)高さ ⑤(音楽)楽音、音程、調 ⑥声調、高低アクセント
・air:①空気、大気、風、空、航空、雰囲気、気配 ②表情、顔つき、(文学的表現で)様子、外観
・choix:選択
➡この箴言については、日本にも「目は口ほどにものを言う」という有名なことわざがありますね。
(250)la véritable éloquence consiste à dire tout ce qu’il faut, et à ne dire que ce qu’il faut.
◎真の雄弁さは、然るべきこと全てを語ることにあり、また、然るべきことしか語らないことにある。
(訳注)
・véritable :真の
・consiste à~:~にある
➡今も昔も変わらない、重い言葉だと思います。「言うは易く、行うは難し」なのですが。
<引用おわり>
フランス語と処世術を同時に学べるのは幸いだと思います。本日もお読みいただき、ありがとうございました。