1) フランス語 勉強法 上達のための「たった1つの」秘密 :
新年、あけましておめでとうございます。そして初めまして、「ぱすてーる」と言います。本日(2021年1月1日)ブログデビューしました!このブログでは、
①仕事や試験でフランス語の運用能力をアップしたい方
②フランス語やフランス文化に関連するものに興味をお持ちの方
③それ以外の動機でフランス語を学びたい方のすべての方
以上のような方々を対象に、フランス語上達の秘訣をお伝えしようと思います。
ひとりの個人の経験が出発点になっていますが、実例をお示ししながら、フランス語の上達のための秘訣や、学ぶメリットを分かりやすくお伝えします。妻や子供に読まれても恥ずかしくないブログにしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
2)結論:
先に結論をお伝えします! フランス語上達は、「ほれるが勝ち」です!!!でも、どうして? どうやって? 何にほれれば良いの?これらの疑問にお答えします! ここで一つ、私がフランス語の文法を初めて習っていた頃に、教科書で出てきた文章を一つご紹介します。
Mon père et ma mère sont médecins.「僕のお父さんとお母さんはお医者さんです。」
なぜか記憶に残っているのですが、文字どおり初めてフランス語を学んでいた当時は、目にする単語がほとんど初めてのものでしたから、上の文章でさえなかなか「するっと」頭には入らなかったのを覚えています。既にフランス語を学んでいらっしゃる方々からすれば、上のようなフランス語の文章は、ひじょうにシンプルに感じられることと思います。
それでは、ここで一つ質問です。上のような文章に「ほれる」ことはできるでしょうか。答えは言うまでもありませんね。「両親が医者である」という情報は、フランス語であろうと、英語であろうと、日本語であろうと、単なる情報伝達の手段です。そこに「ほれる」という余地は全くありません。
3)何に、どうやって惚れるか:
みなさまがフランス語やフランス文化に関連するものに、興味を持たれる理由は様々と思います。私自身は、主に思想家や詩人の作品をきっかけに、フランス語にすがり、惚れ、そして仕事で活用してきました。
中には、「ほれる」ヒマがあったら、一つでも単語や文法を学ぶコツを知りたい、とお考えの方もいると思います。確かに、仕事で英語のTOEIC試験を受けさせられる時なども、高得点を得るために過去問をたくさん解くのが有効、という考え方もあると思います。これはその通りだと思います。
わたしが「ほれる」ことを一つの「上達のひみつ」とお伝えしている理由は、次のことです。つまり、そのような「過去問をどんどん解ける」「楽しみながら解ける」「飽きずに何度も挑戦できる」ようになるための「きっかけ」「起爆剤」をこのブログで提供させていただくことです。「心に火をつける」と言えば言い過ぎでしょうか。「急がば回れ」と言っても良いかもしれません。
以下、簡単な自己紹介をさせていただきます。また、このブログを読んでいただけるといいな、と思われる方々についても記載します。
4)実例と自己紹介:
以下は、自己紹介も兼ねた、わたしのフランス語・フランス文化との「出会い」や「ほれた経緯」を箇条書きでお知らせします。
・高校時代の国語の授業でパスカルを知り、大学でフランス語を専攻。
・近親者の早逝など困難な時代に、フランス語は「すがる」対象から、次第に「ほれる」
対象へと変化。
・「ほれた」勢いで上達し、就職後約10年、海外事業でフランス語にどっぷりと浸かる。
・仕事上の実践のおかげで仏検1級、DALF B4(=現C1)を取得。社会人大学院の入学試験や、外務省のJPO(Junior Professional Officer)国連職員派遣試験にも活用。
・現在は、パスカルへ敬意を払いつつも距離を置き、対照的なヴォルテールにほれています(特に、寛容論)。
・一応、実家は浄土真宗ですが、本人はほぼ無宗教です。
・ブログ名の「ぱすてーる」は、パスカルとヴォルテールを合成したものです。
以上の通り、最初はフランス語の「フ」の字も知りませんでした。しばしばグルメやファッションの世界において、フランス語に関して言われる「おしゃれな」イメージには、全く興味も関心もありませんでした。
フランス語の「発音」についても、初めて耳にした時には、「何と奇妙な音か」という印象を持ったのも事実です(今は決してそんなことはないのですが)。
つまり、ただただ、文字を通じて「すがる」対象だったのです。それは、あたかも、昔の悩める信心深い人が、お経や仏教書 (浄土真宗でいえば、親鸞の歎異抄など)に「すがる」イメージに近かったと思います。
でも、それがきっかけで、フランス語・フランス文化に興味を持つ「きっかけ」「起爆剤」となり、次第に「ほれる」対象へと移ってゆき、気が付いたら「心に火がついた」ような形になっていました。それが上達のきっかけとなったことは言うまでもありません。
5)想定するブログ読者様:
さて、以上はわたしの自己紹介も兼ねた「実例」の紹介でした。私と同じような経験をされている方もいれば、全く別の経験をされている方もいらっしゃると思います。
「ほれる」必要を感じていない方でありましても、このブログでは様々な「役に立つ」「有意義な」「美しい」「感動的な」名文の数々を楽しんでいただけると思います。つまり、「どのような方々であっても」このブログを楽しんでいただけると確信しています。
というのが本音なのですが、ちょっと漠然としてしまいますね。そこで、もう少し具体的に「想定するブログ読者様」につき触れますと、次の3つのカテゴリーの方々となるでしょうか。
① フランス語を学び始めた高校生や大学生、または学生以外でも初めて学びたい方。
② 以前フランス語を学んだが、今は離れている社会人の方。
③ 仕事でフランス語を使わざるを得ない社会人の方。
それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。
① フランス語を学び始めた高校生や大学生、または学生以外でも初めて学びたい方:
第1外国語(専攻語)、または第2外国語として学び始めた皆様は、「文法書」に苦労しているかもしれません。
目の前の文法書や問題集との格闘は、他の言語においても避けて通れない道と思います。私自身、第2外国語でドイツ語を学んでいた時には、結局ほとんど何も頭に残らなかった記憶があります。ただひたすら覚えるだけの、砂をかむような思いをした記憶があります。
授業や文法書を学習する際に、ゲーテやヘッセなど珠玉の作品の一部を目にする機会があれば良かったのにと思います。そうすれば、もっと学習のモチベーションが上がっていたことでしょう。
でも、安心してください。理由につきましては後日、「論より証拠」でお伝えしたいと思います。ここでは、以下一例を挙げさせていただきます。
例えばフランス語学習の壁の一つである動詞の活用について。英語より遙かに多い「時制」(現在形、過去形、未来形だけでなく、半過去、条件法、単純過去など)については、最初のうちは「気にしない」程度にのんびり構えていただいて大丈夫です。なぜでしょうか?
まず、「会話」について言えば、現在形や過去形、未来形など英語と同じ時制の利用が大半です。私達が日本語で日常会話をする時の「時制」のことを考えていただければよいと思います。
次に「読解」についても、会話に関してと同じ見方で現在形や過去形、未来形などシンプルな時制を学んでおけば、大抵の理解は進みます。その後に、少し込み入った条件法、半過去、単純過去などを、必要に応じて少しずつ理解していけば良いわけです。
極論しますと、「実用」を視野に入れた場合には、単純過去(主に文学作品で利用)などの特殊な時制については、新聞(Le monde)を読んだり、映画のフランス語を理解する際には不要とさえ言えます。
もちろん、知っていた方が、名作をより深く味わえるという面はあります。とはいえ、日常会話や新聞、フランス語検定などの「実用」を考えた場合には、単純過去などのフランス語特有の時制を知っていなければならない理由は無い、とさえ言えると思います。
以上のように、フランス語の文法「全て」を学ばなければならない、という強迫観念からは、早々に解放されましょう! フランス語辞書の巻末に付いている膨大な動詞の活用表などは、参考程度に横眼で見ておけば良いと思います。「随分と色々な決まりごとがあるんだなー」程度に。
文法書との格闘という強迫観念から解放された方々には、ちょっと視点を変えて、「美しい宝の山の頂上から、世界を見下ろす」イメージを楽しんでいただければと思います。
例えて言いますと、美しく雄大な富士山に登り始めた直後、登山口の近くあちこちに散らばる小石や小枝(=文法や単語)の一つ一つには気を取られなくても良い、ということです。
「美しい景色を楽しみながら」「生きる知恵という宝の山を味わいながら」登るのです。登山口を過ぎて間もない時点で、途中の小枝や雑草には目もくれずに。
登り続けていくうちに、途中の素晴らしい光景や植物を目にすることができます。結果的に実用性だけでなく、生きる知恵も身につきます。(生きる知恵が身につくという意味では、実用的とも言えるでしょう。)
このブログでは、「楽しみながら」「味わいながら」登るための材料を色々と提供させていただきたいと思います。
では、頂上にはいったい何があるのでしょうか。何をもって「頂上」と考えるかは、人それぞれとは思います。私自身はフランス詩がその一つであると考えています(大学のネイティブ客員教授からフランス文学の授業で最初に学んだのは、フランス詩でした)。
フランス語は美しいだけでなく、豊かな「生きる知恵」の宝庫です。後日触れますが、フランスにはモラリスト文学という素晴らしい伝統があります。日本でいえば、私が敬愛する吉田兼好の徒然草のフランス版のようなものです。
「生きる知恵」を短い断想形式で綴るスタイル(パスカルの『パンセ』、ラ・ロシュフコー『箴言集』など)ですので、長編小説などに比べるとアクセスのハードルがかなり下がると思います。詩歌の短さにも通じるものがあると思います。生きる知恵の宝庫、宝の山です。
私自身は、上記の4)で触れたように、最初は「(音としての)フランス語の美しさ」には全く興味はなく、ただ単に「文字にすがっていた」状態でした。言わば、悩める人が「経典」のようなものにすがるイメージです。実際、高校時代にFMラジオで、エリック・サティーのJe te veuxの原題の翻訳(ジュ・トゥ・ヴー)を耳にした時には、「何だかカエルが潰れたような音だなあ」と感じた記憶があります。「美しさ」を意識し始めたのは、大学入学後に映画や音楽を通じて目と耳でフランス語に触れるようになってからです。
② 以前フランス語を学んだが、今は離れている社会人の方々:
次に、私のブログをお読みいただくことを想定している方々は、次のような方々です。学生時代に第二外国語または専攻語で学んだものの、就職後はフランス語との縁がなくなり、忘れてしまっている方々。
私自身、フランス語にどっぷりと浸かった約10年の後には、異動によりフランス語との縁が薄くなり、業務で使う外国語と言えば英語でした。異動した部署によっては、英語さえほとんど不要の部署もありました。
皆様の属されている業種や部署におきましても、フランス語との縁が無い方が多いと思います。世の中では「英語」の実用性が叫ばれるようになって久しく、私も30年近い社会人経験からそう思います。TOEIC等の語学試験のように、会社業務の必要性に迫られ、半ば強制的に英語を学ぶ必要に迫られる場面もあるかと思います。
そうでありましても、そのような理由だけで「外国語」を学ぶのは、ちょっと勿体ないと思います。「チャーチルの自伝を英語で読みたい」「シェイクスピアの戯曲やブレイクの詩を英語で読みたい」というようなアプローチ方法があれば、もっと英語学習の幅とモチベーションが高まると思います。
それにより知識・教養を深められるだけでなく、英語圏や他の地域の外国人と接する際にも話が弾むことでしょう。フランス語に関しても同様だと思います。私が学生時代にホームステイしたファミリーとの屈託の無い団らんの後には、次のような詩の抜粋をネタに、私の「将来の結婚相手はどんな人!?」とちゃかされた楽しい思い出があります。
”Est-elle brune, blonde ou rousse? – Je l’ignore.”(彼女の髪の色は茶色、ブロンド、それとも赤毛?それは分からないんだ。) この詩については後ほど、紹介させていただきます。ホストファミリーご自宅(フランス南東部グルノーブル)近くの裏山で山スキーを楽しんだ後、美味しいシードルとクレープに舌つづみを打ちながら。夢のようなひと時が、この詩と共に蘇ります。
③仕事でフランス語を使わざるを得ない社会人の方々:
次に私のブログをお読みいただくことを想定している方々は、学生時代にフランス語を学んだご経験が無い方々で、フランスやフランス語圏に駐在される方です。または、日本国内でフランス語を使う必要性(国際協力など)に迫られる方。こちらの方々に対しましては、より実践的・実用的なアプローチを紹介しつつ、オススメの勉強法をご案内させていただきます。
次回以降のブログでは、具体的に「ほれる」きっかけとなったフランス語の原文の数々を紹介いたします。是非、楽しみにしておいてください。