第4回 フランス語上達法 ~ ユーゴ―の名詩を楽しみながら~

皆様こんにちは、ぱすてーるです。本日もお読みいただき、ありがとうございます。

1)フランス語上達法 ~ Victor HUGOの名詩を楽しみながら~

 今回は、Victor Hugoの愛らしい詩をご紹介します。題名は“ Lorsque l’enfant paraît”。ユーゴーと聞くと、偉大な作家で恐れ多いイメージがありますね。でも、今回ご紹介する詩は、そんなイメージとは正反対の、「親○○」そのものです。

 赤ちゃんが生まれた時の喜びを、自身と家族の視点を交えて高らかに謳いあげています。我が子が生まれた際の喜びに重ねて味わうと、感動もひとしおです。

2)ユーゴ―の略歴: 

 ユーゴーは『レ・ミゼラブル』『ノートルダム・ド・パリ』で有名ですが、実は、詩人としての評価も物凄く高い人だったそうです。それは、我々の想像を遙かに超えるものであったらしく、学生時代の「お雇い外国人」先生の言葉を借りると、「子供を叱る際の言葉も韻を踏んでいた」とのことです!

 ユーゴー(仏: Victor-Marie Hugo、1802年2月26日 – 1885年5月22日)は、フランス・ロマン主義の詩人、小説家。七月王政(1830年7月29日にフランスで勃発した7月革命の後、オルレアン家のルイ・フィリップを国王とした立憲君主制の王政。オルレアン朝とも言われ、1848年2月24日の2月革命で打倒された)から、フランス第二共和政時代(1848年の二月革命から1852年のナポレオン3世皇帝即位=第二帝政の成立までの政体)の政治家。

 第2回、第3回のブログとは逆に、今回は先にフランス語の原文を引用させていただき、直後に和訳を付しました。和訳の質につきましては、どうぞご容赦ください。フランス語の理解を促進するための参考、とご理解いただければ幸いです。

 なお、動詞の時制に関しては、途中、一部に接続法現在形(soitはêtreの、aitはavoirの、fasseはfaireのそれぞれ接続法現在形)が出てきますが、他はほぼ直説法現在形です。安心してお読みください。

3)<引用はじめ>

LORSQUE L’ENFANT PARAIT

赤ちゃんが生まれてきた時

Lorsque l’enfant paraît,le cercle de famille

Applaudit à grands cris. Son doux regard qui brille

Fait briller tous les yeux,

赤ちゃんが生まれてくると、家族が輪になり、大声で祝福します。

赤ちゃんの輝く優しいまなざしで、周りの家族の目が輝きます。

Et les plus tristes fronts, les plus souillés peut-être,

Se dérident soudain à voir l’enfant paraître,

Innocent et joyeux.

そして、無垢で喜びに溢れた赤ちゃんの顔を目にすると、傷つき、悲しみに

沈んだ家族の表情でさえも、晴れ晴れとしてくるのです。

Soit que juin ait verdi on seuil, ou que novembre

Fasse autour d’un grand feu vacillant dans la chambre

Les chaises se toucher,

6月、戸口が緑に色づく頃であっても、11月、部屋のゆらめく

暖炉の炎の周りに身を寄せ合う頃であろうと、

Quand l’enfant vient, la joie arrive et nous éclaire.

On rit, on se récrie, on l’appelle, et sa mère

Tremble à le voir marcher.

赤ちゃんが生まれると、喜びが訪れ、我々を照らすのです。

皆が笑い、高らかに喜びの声をあげ、赤ちゃんの名前を呼び、

そしてお母さんは、自分の子が歩くのを見ると、

喜びで身震いするのです。

                     ( 中略 )

Car vos beaux yeux sont pleins de douceurs infinies;

Car vos petites mains, joyeuses et bénies,

N’ont point mal fait encor;

なぜなら、君の美しい瞳は、無限のやさしさに満ちているから。

なぜなら、君の、喜びにあふれ祝福された小さな手は、未だ悪事を

何一つ働いていないから。

Jamais vos jeunes pas n’ont touché notre fange,

Tête sacrée! enfant aux cheveux blonds! Bel ange

A l’auréole d’or!

君の初々しい歩みは、我々(大人の)汚辱には微塵も触れていないから。

何と神々しい表情をしているのでしょう!ブロンド髪の愛しい子!

黄金色の後光をたたえた、美しい天使!

Vous êtes parmi nous la colombe de l’arche.

Vos pieds tendres et purs n’ont point l’âge où l’on marche,

君は、私達の中にあっては箱舟の鳩であり、君の優しく純粋な両足は、

これから始まる歩みを全く経験していないのです。

Vos ailes sont d’azur.

Sans le comprendre encore vous regardez le monde.

Double virginité ! corps où rien n’est immonde,

Ame où rien n’est impur!

君の(天使の)翼は、紺碧の空そのもの。

君は、世の中をまだ理解はできないけれど、じっと眺めています。

穢れのない肉体と、そして純粋な魂との、二重の純潔性!

Il est si beau, l’enfant, avec son doux sourire,

Sa douce bonne foi, sa voix qui veut tout dire,

Ses pleures vite apaisés,

Laissant errer sa vue étonnée et ravie,

Offrant de toutes parts sa jeune âme à la vie

Et sa bouche aux baisers!

優しいほほ笑みと共にある赤ちゃんは、何と美しいことか。

優しく誠実で、全てを語ろうと望む声。

驚きと喜びに溢れた視線を周囲に振りまけば、たちまち乾く涙。

その若い魂をあらゆる方向から「生」へと差し出しつつ、

また、その唇を、家族の接吻へと供するのです。

Seigneur! Préservez-moi, préservez ceux que j’aime,

Frère, parents, amis, et mes ennemis même

Dans le mal triomphants,

De jamais voir, Seigneur! L’été sans fleurs vermeilles,

La cage sans oiseaux, la ruche sans abeilles,

La maison sans enfants!

神よ!私が愛する兄弟や両親、友人、そして悪事の中で

勝ち誇った敵でさえも、そのままにしておいてください。

なぜなら、私は、深紅の花が無い夏など、鳥たちのいない籠など、

蜜蜂のいない蜂の巣など、そして、子供たちが巣立って居なく

なった家などは、決して見たくないからです。

                                            (La feuilles d’Automne)

<引用おわり>

 少し引用が長くなってしまいました。それだけユーゴー自身の感動が大きかったのだとも考えられます。次回以降は、もうちょっと手ごろで短い作品を紹介したいと思います。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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