第5回 フランス語会話 上達のきっかけ イケメン先生

皆様こんにちは、ぱすてーるです。

第2回~4回ではパスカル、ジオノ、ユーゴーと紹介して参りました。第5回は、しばし作家紹介はお休みして、「フランス語の上達のきっかけ」に触れたいと思います。

第1回でも触れましたが、「すがり、惚れて上達し、活用してきた」とお伝えしました。何事も「少しだけでも先回りして」学んでおくことが、後々、役に立つということの例示になるかと思います。主にヒアリングと会話の上達のために、参考にしていただけると思います。

フランス語の会話を初めて学んだのは、学生時代でした。授業ですから否応なく参加せざるを得ないものでした。元々、書物(=パスカル)にしか興味が無かったので、ネイティブ教師との会話の授業はメンドクサイと感じており、これが後日会社に入ってから役立つとは思いもよりませんでした。「否応なくフランス語を使わざるを得ない環境に置かれること」これは本当に大切だと思いいます。私の学生時代にもネイティブ教師を抱えるアテネフランセや日仏学院がありましたし、今ではオンラインレッスンもありますので、「否応なくなくフランス語を使わざるを得ない環境に置かれる」チャンスは沢山あると思います。いきなりネイティブから教わることに抵抗がある方は、日本人の方から教わって精神的なハードルを下げてからでも良いと思います。大抵の学生は、日本人・フランス人の両方から教わります。日本人の先生からは、日本人がつまづき易い点を教えていただけると思います。

この先生は、「先生」と言っても25歳くらいの方でした。イタリアの画家モジリアニの生涯を描いたフランス映画の古典『モンパルナスの灯』の主演、ジェラール・フィリップ似のイケメン先生でした。この先生のお母さんがコメディー・フランセーズの女優であったせいもあると思います。ある日、「On va discuter en peu」(ちょっと話そう)と誘われ、クラスメート数名と一緒に大学近くの喫茶店に行った時の話です。サルトルを専攻していたと本人は言っていましたが、「サルトルについて”科学的に”論文を書かなければならない煩わしさ」「それが何の役に立つのか(A quoi ça sert)」(※)と語っていた声が耳に焼き付いています) ということで、余り研究熱心な方ではありませんでした。サルトル等を輩出した高等師範学校 (Ecole Normale Supérieure)を卒業したインテリですが、イケメン過ぎて遊び過ぎたせいか、Agrégation(高等教育教授資格)は取れなかったそうです。

25歳の(遊び盛りの?)社会人経験の乏しいイケメン先生からは、社会のことは学べませんが、さすがに高等師範学校卒だけのことはあり、フランスの伝統的な詩歌や映画の話は、「本場」の話を説得力をもって語っていただけたため、非常に面白かったです。授業で暗唱させられたボードレールやマラルメの詩は、今でも不思議に口を突いて出てきます。(ランボーの”酔いどれ船”は、長すぎて挫折)これらの詩については、のちほど、文法と一緒に共に紹介させていただきたいと思います。

以上の通り、 「座学」とは言え、学生時代にネイティブ教師からフランス語を話すことを学んでいたおかげで、その後短期のフランス旅行等をするきっかけにもなり(パスカルの生地クレルモン・フェランにも行きました!)、会社に入った直後から即戦力として戦えたのだと思います。なお、会社で主に利用したのは、輸出業務の向け地であったアフリカでした。「えっ、アフリカ?」と思われる方も多いと思いますが、実は、これが返って「発音コンプレックス」を無くすのに大いに役立ったのです。この点につきましては後日また触れさせてください。

なお、(※)の「それが何の役に立つのか(A quoi ça sert)」については、実は、フランス語やフランス文学、ひいては「文学」「人文科学」を学ぶ学生にとっては、或いは、それらを或る程度学んだ後に、職業選択(進学か、就職か)を考える際に、多かれ少なかれ悩んだり、悩まないまでも意識することがあるのではないかと思います。

30年近い社会人経験を踏まえて言えることは、文学など人文科学の知識は、少なくとも「直ぐに役立つものではないが、生きる知恵を与えてくれるもの」であるということです。「直ぐに役に立つものは、直ぐに役に立たなくなる」とも言われるゆえんですね。

(※)の発言は、25才くらいの方の発言としては、ある意味自然だと思います。でも、その考え方を徹底し過ぎると、「自由学芸」(Liberal Arts)そのものを否定することにもつながる恐れもあるように思います。まあ、この点は、「フランス語上達の秘訣」の話とは直接関係ありませんので、エピソードとして読み流していただければと思います。

本日もここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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