第68回 フランス語を使った大学・大学院進学(1)

第68回 フランス語を使った大学・大学院進学(1)

 皆様こんにちは、ぱすてーるです。今回はも当ブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 今回は、実体験に基づくフランス語の「実用」例と、それを踏まえた一つの提案をしてみたいと思います。具体的には、大学院受験や外務省JPO(Junior Professional Officer)試験での経験を踏まえ、これを学部受験にも活かせないか、という提案です。

1)大学院試験:

 仕事上の行き詰まりを感じていたころに、「社会人大学院」を受験しました。「惚れこんだ」フランス語で受験が可能でしたから、迷わずフランス語受験で志願しました。社会人大学院の草創期でしたので、仕事をしながら大学院(主に平日夕方2日程度と土曜日終日)で学べるのは非常に魅力的でした。

 入学試験問題は、le mondeなどの新聞で出て来そうなものだった記憶があります。そのころはまだ仏検準1級しか保有していませんでしたが、そもそも仕事で日常的に使っていたフランス語やle monde記事、好きで読んでいた仏語の詩や小説などのおかげで、無事に社会科学系の大学院に入学できました。意外にも、私以外に数名フランス語受験の方がいました。

 大学院受験の外国語科目として選択できるという点は、明らかに「フランス語を学ぶメリット」の一つです。現在の大学院入試では、私の頃のように試験会場で問題を解く形ではなく、各種資格試験の証明書の提出の方が主流になりつつあるようです。「コロナ禍の受験」という点でも、試験会場に集まる形式よりも合理的と思います。

 この点でもフランス語にはメリットがあります。即ち、英語であればTOEFL/TOEIC/IELTS/英検、フランス語であれば仏検やDELF/DALFなどの資格試験がありますが、DELF/DALFにはTOELFやIELTSのように「有効期間」(2年)がありません。これもフランス語の魅力、メリットの一つですね。

2)外務省JPO派遣制度:

 次に、フランス語活用の経験談として、「外務省JPO派遣制度」につきご紹介します。この制度は、社会人経験のある35歳以下の意欲的な方々を、外務省が仲介して国連機関に2年限定で派遣する制度です。外務省の国際機関人事センターHPには、JPO制度に関して次のような説明があります。

 「JPO(Junior Professional Officer)派遣制度は、1961年の国連経済社会理事会決議により設けられ、各国政府の費用負担を条件に国際機関が若手人材を受け入れる制度です。日本も外務省を含む複数の省庁が、国連をはじめとする国際機関に派遣を実施しています。」

 基本的には①大学院での修士号取得と、その分野での職務経験 ②語学力の2点が採用のポイントです。このうち①の大学院受験につきましては、上記1)をご参考いただければと思いますので、ここでは②に関して補足させていただきます。

 私が受験した頃は、フランス語のみでもOKであり、実際に日仏学院での筆記と口頭試験(ネイティブの方と楽しい会話をした記憶があります)を経て、外務省本省での面接に臨みました。現在は、外国語能力の証明としては基本、英語(TOEFLまたはIELTS)の模様ですが、フランス語も一定レベル以上であれば加点される模様です。国連という職場の特性を考えれば、フランス語の運用能力があることが有利に働くのは明らかですね。

 面接官は2名で、一人が外務省職員の男性(かなり高齢)、もう一人がどこかの国連機関の人事担当者とおぼしき女性でした。私の場合は、大学院での研究テーマとの関係で、外務省本省での最終面接において「どうしてもILOで働きたい」の一点張りでした。外務省職員の面接官からは、「UNDPであれば派遣可能なのですが」と言われたのですが、丁重にお断りしました。

 「あなたはWillとCanを混同しているのでは?」と女性の面接官に言われたのを覚えています。つまり、「私がILOで働きたいという意思(=Will)」を持っていたとしても、「実際にILOで職務を果たすことができる(=Can)」ということにはならない、という訳です。その結果、最終的に不合格となりました。日本では、「何も知りませんが1から頑張って勉強して御社に貢献します!」というようなことが許されるケースもあると思いますが、海外ではそうはいきませんね。

 でも、今思えば、良かったと思っています。なぜなら、2年間の限定派遣であり、期間終了後に国連機関に正式採用されるためには、直接国連機関に申し込みをしなければいけません。家族とも離れ離れになる可能性が大きく、今思えば、後先考えず、向こう見ずな行動だったと思います。

 また、派遣対象地域も「国連機関の存在意義がある」地域ですから、一筋縄ではいかない問題を抱えている地域であることが多い模様です。

3)大学学部のフランス語受験:

 ここからは、大学院受験をフランス語で実施した経験を踏まえた提案です。大学院受験がフランス語で可能なら、学部受験もフランス語で実施してみてはどうか、というものです。

 もちろん、世界最大の利用者数を誇る英語を否定する訳ではありません。そうではありますが、英語の学習機会は、フランス語に比べれば、それこそ「浴びるほど」ある時代です。そのため、「手段として」「受験戦略として」、敢えてフランス語を選択してみてはどうか、というものです。

 実は、私の学部時代のクラスメートの3人は、1-2年だけ初級フランス語を一通り学んだ後に、あっさりと学部編入試験で東京大学(文I・文II・文III)に入学してしまいました。「そういうやり方もあるのだなー」とぼんやりと思った記憶があります。

 まあ、サラリーマンになるのであれば、わざわざ東大に入らなくても良いと思いますが、一つの「戦略的受験ワザ」とご理解いただければと思います。(文Iに編入したクラスメートは、その後東京都庁に勤務。仏検1級の口頭試験会場の暁星高校で偶然出会いました。)

 では実際に、「学部」でフランス語受験を可能にしている大学は、どれくらいあるのでしょうか。(なお、センター試験のフランス語問題は、朝日新聞のネット記事で閲覧可能です。)更には、大学受験前の高校時代に、フランス語学習を授業に取り入れているところはどれくらいあるのでしょうか。また、実際に大学受験のためのフランス語講座を開講している予備校はあるのでしょうか。次回はこの点につき、掘り下げてみたいと思います。

 本日もお読みいただき、ありがとうございました。

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