第23回 バイデン大統領 ~世界を元通りに~
皆様こんにちは、ぱすてーるです。今回もお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、昨日の第22回ブログで紹介したル・モンドの社説(米国のパリ協定復帰)の読み比べのために、ル・フィガロ紙の社説を読んでみたいと思います。Philippe Gélieという方が書いた2021/1/20の記事です。キーワードは、社説のタイトルの通り「 le monde à l’endroit」(世界を元通りに)です。
両新聞ともフランスを代表する新聞であり、いずれもバイデン大統領就任直後の発言を取り上げていますが、ル・フィガロ紙の方は「パリ協定復帰」を明示的には取り上げていませんでした(もしかしたら有料閲覧部分では取り上げられているかもしれません)。今回は、無料閲覧可能な十数行を紹介させていただきます。ちなみに、前回の第22回ブログのル・モンド記事の方は50行以上ありました。社説の主張が良く伝わる部分につきましては、フランス語の原文を添えます。ご参考としていただければ幸いです。
<引用はじめ>
・米国は、厳粛に執り行われた大統領信任式典に象徴される、数々の新たな出発を歓迎している。
・概して、地球上の人々は、この政治的なお祭り騒ぎを、賛美と懐疑の入り混じった気持ちと共に目にしている。
・今回は、地球の至る所から、安堵のため息が聞こえている。
Cette fois, on entend de partout un soupir de soulagement.
・ドナルド・トランプによって、「逆さまに」されてしまった世界では、政治体制が粗雑で甘やかされており、また、民主主義は手荒く扱われていた。
Après le monde à l’envers de Donald Trump, où les régimes brutaux étaient choyés et les démocraties rudoyées,
・そのような世界を引き継いだバイデンは、次のことを約束した。①(トランプによって逆さまになってしまった)世界を正しい向きに戻すこと。②多国間の対話に復帰すること。③「善良」と「悪意」を区別しながら「価値あるもの」を推進すること。
Joe Biden promet de remettre le monde à l’endroit, avec des alliés traités en partenaires, le retour d’un dialogue multilatéral et la promotion de «valeurs» distinguant entre «bons et méchants».
・第46代米国大統領に就任したばかりのバイデン氏は次のように発言した。「我々は再びアメリカを世界の中の偉大な”善の力”にするであろう」
«Nous allons refaire des États-Unis la grande force du Bien dans le monde», a lancé mercredi le 46e président tout juste intronisé.
・バイデン政権の国務長官であるAntony Blinkenは、バイデン大統領の上記発言に輪をかけて「アメリカは再び最前線に戻ってきた」と語った。
・欧州は、ホワイトハウスに再び友人を得たことを喜んでおり、大西洋を横断する外交関係の礎となる新協定を、バイデン大統領との間で調印することを待ちわびている。
<引用おわり>
いかがでしたでしょうか。上記のバイデン大統領発言「我々は再びアメリカを世界の中の偉大な”善の力”にするであろう」は、トランプ氏の「アメリカを再び偉大に」(We’ll make America great again)を意識したものでしょうか。ル・モンドもル・フィガロも政治的な立ち位置は異なりますが(前者が中道やや左寄り、後者が右寄りとのこと)、両紙とも今回のバイデン大統領就任を好意的に受け止めている様です。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。