第69回 フランス語での受験による大学・大学院進学(2)
皆様こんにちは、ぱすてーるです。今回も当ブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。
前回は、フランス語での大学院受験やJPO派遣 (外務省経由で国連に2年派遣)受験の経験に基づき、「学部でのフランス語受験」につき提案させていただきました。今回は、より具体的に、「大学」「中学・高校」「予備校」の3つに分けてその可能性を探ってみたいと思います。
1)大学学部受験:
1-1)学部受験にも二つのタイプがあると思います。一つは、ごく普通の受験、もう一つは「編入」(3年次から入学する学士入学)です。まずは、普通の受験に関するものですが、直接各大学のウェブサイトを調べる以外の方法としては、少なくとも以下4つの情報収集手段があります。
①受験/教育関連サイト:例「インターエデュ」など
②Yahoo知恵袋
③ブログ
④各大学HP等で直接確認
→④は本ブログの趣旨に照らし対象外とさせていただき、①~③の情報を総合すると、以下のことが言えそうです。
-都内の主な大学では、フランス語での受験機会は多い(東京6大学、上智、青山、中央)。
-但し、理科系の学部は限定的(早稲田、東京理科、明治、立教、芝浦工業)。
-センター試験のフランス語問題の過去問は、朝日新聞等のウェブサイトで確認可能。
-各大学独自の問題のレベルには差はあるが、センター試験のレベルは比較的やさしい。
以上の通り、「受験戦略」の一つとして、英語だけでなく、フランス語受験も視野に入れる価値はありそうです。
1-2)次に、学部受験のもう一つの方法である「編入」(学士入学)についてですが、こちらは「中央ゼミナール」のサイトが圧倒的に分かり易いと思います。国公立大学から私立大学まで、フランス語受験可能な大学の網羅的な情報が得られます。ちょっと古く平成31年度の情報ですが、例えば以下のような情報が掲載されていました。
【国立大学】東北、山形、福島、埼玉、東京、お茶の水、富山、新潟、名古屋、三重、京都、大阪、奈良女子、島根、岡山、九州、熊本、琉球
【公立大学】首都大学東京、大阪市立
【私立大学】上記の東京6大学、上智、青山、中央はもちろんのこと、それ以外ですと独協、学習院、日本女子、共立女子、杏林、麗澤などが掲載されています。
上記を見る限り、主な国公立・私立大学の大半でフランス語受験が可能と言えますね。また、傾向として、フランス語での受験が可能な大学は、ドイツ語でも可能となっています。ただし中国語については、国公立で15大学ほど、私立大学では5大学に限られていました。
以上の通り、特に学部編入を考える場合には、大学学部の「受験戦略」を考える場合に、フランス語を活用するのも一つの有力な選択肢になりそうです。英語を完全に「捨てる」ことに抵抗のある方には特に向いている戦略かもしれませんね。前回第68回ブログでご紹介した、私の学部時代のクラスメート3人(皆、東京大学へ編入)は、このパターンでした。
2)中学・高校:
「中学受験・高校受験パスナビ」には、1都3県の中学・高校で、フランス語の授業がある学校が一覧化されていました。教育開発出版(株)と旺文社から各学校へのアンケート解答(2017年冬実施)に基づく情報です。すべての情報が掲載されているわけではありませんが、以下の通りかなり網羅的でした。
<フランス語の授業がある中学・高校> (括弧内数値は該当する学校数)
東京都 :高校(16) 中学(14) 例)青山学院、慶応女子、駒込、成蹊、成城、中央、明治、立教など
埼玉県 :高校(2) 中学(0) 例)慶応、埼玉栄など
千葉県 :高校(2) 中学(1) 例)渋谷学園幕張、千葉英和など
神奈川県:高校(5) 中学(5) 例)慶応、日本女子、法政など
以上の通り、かなりの数であることが分かりました。中には中学校から授業があるところもあるとは驚きです。
上記1)の通り、大学受験で「戦略的に」フランス語を選択するとは言っても、その前段階としての「学び」の場が無いことには、心もとないですね。
3)予備校など:
中学や高校でフランス語の授業があるに越したことはありませんが、無い場合には、「予備校」を利用するという選択肢もあります。でも、その数は限られています。(昔は、代々木ゼミナールで年次版の『大学入試フランス語問題集』のような対策本も刊行されていたようです。今はヤフオク等で入手可)。
最近では「お茶の水ゼミナール」(Benesse系)が熱心に授業をしているみたいです(ウェブサイトで確認可能)。予備校の数は余り多く無い模様です。
他には、「受験予備校」という訳ではありませんが、伝統的な語学学校としては、「アテネ・フランセ」や「アンスティチュ・フランセ東京」(旧・東京日仏)など、学ぶための機関は複数あります。
また、家庭教師という選択肢もあり、「迷わずフランス語を選びましょう」とうたって有名大学への合格実績を開示している家庭教師の方のサイトもありました。
以上、大学受験、中学・高校、予備校などの3つに分けて触れてみました。「戦略的に」フランス語を選択するという道は、決して夢物語ではなく、十分に検討余地がありそうです。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。