第25回 フランス語? アフリカ語? 上達の秘訣

第25回  フランス語? アフリカ語? 上達の秘訣

皆様こんにちは、ぱすてーるです。本日もお読みいただき、ありがとうございます。

 今回も前回に続いて、過去の自分を振り返るような話をさせていただきます。ですが、舞台は全く違います。夢のようなアビニョンとはまるで違うアフリカでの話になります。これが「フランス語上達の秘訣」にも極めて大きく関わっています。

 今までのブログでは、「フランス語上達の秘訣」の一つは「惚れること」と申し上げました。これはモチベーションの観点からは一番大事なものだと今でも固く信じています。では、「惚れる」などしてモチベーションを確かなものとした上で、実際に上達させるにはどうすれば良いでしょうか。まず思い浮かぶのは、「読み書き」の練習のため、地道に文法書に取り組んだり、作文の練習をすることだと思います。

 それでは、「聞く、話す」はどうすれば良いでしょうか。専門的にフランス語を学ぶ学生でしたら、大学やそれ以外の公的・私的教育機関でネイティブの先生から教わる方法があると思います。今ならそういう機会も格段に増えていると思います。

 とは言え、やはり、「必要に迫られる」というのは何物にも代え難い上達の機会だと思います。私の場合、アフリカで通訳 兼 労務管理を担当していたこともあり、現地のスローペースの方々と「喧嘩するような強い口調でお尻をたたく」ようなことがしばしばありました。締め切りに間に合うようにある作業や確認を実施していただくためには、やむを得ず喧嘩腰になる必要もあります。会話上達の一つのバロメーターは、「喧嘩腰の督促ができること」になるのでは、と考えています。本当に喧嘩をしてしまうとまずいので、あくまで「喧嘩腰」である点には留意が必要と思います。また、こちらの要請を正確に伝えるためには、作文し書面で意思を伝える必要もあります。この経験が、フランス語の運用能力(ヒアリング・会話・作文)を著しく高めることにつながりました。

 ちなみに、耳にするフランス語は、激しくクセのあるアフリカのものです。こんなことを言っては怒られるかもしれませんが、普通のフランス人のフランス語とは「似ても似つかない」とさえいえるくらい、違うものです。よくよく聞いてみるとフランス語だった、みたいな感じです。この、ぶっきらぼうなフランス語に接していると、不思議と、「フランス語は綺麗に発音しなければいけない」という変なプレッシャーと言いますか、先入観からは、あっさりと解放されます。

 20代で初の海外出張先は、某アフリカ国の砂漠。1~2ヶ月間、中古コンテナを改造しエアコンを付けた掘っ建て小屋で寝泊まりしていました。今ではアルカイダも出没する地域ですから渡航は困難だと思います。砂漠であり電気・水道も無いので井戸を掘り、発電機でモーターポンプを動かし井戸水を汲み上げ、料理や風呂・トイレ用に使っていました。砂漠なのに意外にハエが無数にいるため、2~3分立ち止まっているだけで背中は大きなハエで真っ黒。食堂にも侵入するので食堂にはハエ取り棒が無数にぶら下がっていました。初の海外出張ですから「そんなものか」と納得し、特に不便を感じることはありませんでした。若さに加え、大好きなフランス語を使えるというモチベーションの影響もあったのだと思います。

 第24回ブログでご紹介したパリの老夫婦の言葉”Petit à petit, l’oiseau fait son niz”(鳥は少しずつ巣を作る)や、アヴィニョンのPONT DU GARDからの帰り道に拉致(ヒッチハイク)「された」時のご婦人の言葉”Vous êtes timide!”(あなたは臆病ね)と同様に、また忘れ得ない言葉を思い出しました!

 ある日、現地雇いのコックさんが、モゴモゴと「ナンタンドーを持っているか」「ナンタンドーを知っているか」としきりに繰り返すのです。何のことかとよくよく聞いてみると、どうやらNinendoのゲームの話でした。日本人なら「ニンテンドー」のゲームを持っていると思ったのでしょう。確かにNindendoをフランス語読みすると「ナンタンドー」ですね。このコックさんはアフロヘアの小柄なおじちゃんで、既に子供もいたと記憶します。トマト料理ばかりでしたが毎日いただいていると慣れてしまいました。

 何を言いたいかというと、やはり、「強い印象をともなう発話体験」ほど語学上達の機会は無いのでは、ということです。そうは言っても、実際にアフリカやフランスに行かずに日本に居ながらにして、そのような「強い印象をともなう発話体験」をするにはどうしたら良いのでしょうか。これについては、追って少し考えてみたいと思います。

本日もお読みいただき、ありがとうございました。

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